『木遣り』 とはもともと 『大きな岩,木材を大人数で掛け声をかけながら引くこと』 という意味です。
(…ということは,
お木曳きそのものが 『木遣り』 という意味になりますね)
大人数で力を合わせて行う運搬には,指揮者の号令が必要であり,この号令の役目を担うのが『木遣り歌』で, 『木遣り歌』 で全員の士気を高め,曳き手はそれを受けて力を合わせる 『日本人独特の労働歌』 なのだそうで。
木遣り歌に対して引っぱる曳き手の合唱を 『受け』 というそうです。
お木曳きでは
『よぉ〜いとこぉ,よぉぉ〜いとこぉぉせぇぇ〜』が 『受け』 ということですな。
(これ
「よい所,よい所伊勢」ということだと聞いたことがあります)
もともと純粋に重く大きい岩石,大木を運ぶときに音頭をとるための手段として歌われていた木遣り歌ですが,城や神社・仏閣等の大きな建物が造営されるに伴い,造営そのものが慶事的なものと認識されるようになり,木遣り歌も 『おめでたい唄』 へと変わってきたようです。
浜参宮でもお接待を受けた旅館の前で威勢のよい 『木遣り歌』 が歌われてます。
また,各団によって歌われる木遣り歌はそれぞれ独特です。
また,ひとつの団でも木遣り歌は浜参宮用,お木曳き用,お白石持ち用,川曳き用,陸曳き用と各種を使い分けるようです。
(川曳きの団もお白石の時は陸を外宮へ運びます)
ここにあるのは,ある2つの団の木遣り歌の一部です。
こんな内容になっているんですねぇ。
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●朝日さす浜清渚の渚で 心清めて浜参宮
●勢いのぼりに神風匂う 木曳祭りの五十鈴川
●流れ尽きせぬ五十鈴の川を 千代に目出たく御木を曳く
●神の御領の氏子の誉れ 目出た目出たで御木を曳く
●神路山に朝日がさして歌声高く綱を曳く
●木曽で育てしこの宮柱 今日は五十鈴の川を曳く
●ここは宇治橋 内宮様の祈る心の清め橋
●ここは新橋向かいは神路 仲を取り持つ五十鈴川
●瀬越え淵越え宇治橋見れば おかげ参りの人の波
●鈴が鳴ります五十鈴の鈴が 聞けや神代の水の音
●お木は木曽山谷々越えて 清き流れの五十鈴川
●朝日輝く神路の山の 麓流れる五十鈴川
●お前百までわしゃ九十九まで ともに白髪が生えるまで
●お伊勢参りで扇を拾ろて 扇めでたや末繁盛
●絶ゆる事なき遷宮の炎 みごとつとめて次の世へ
●梃子もそろうた木遣りもそろうた 曳き手そろうた共に綱を曳く
●宇治と二軒茶屋兄弟町よ 共に曳こうぜ宮柱
●いさむ川曳き幾時をかけて 宇治に生まれて心意気
●老いも若きも心を合わせ 五十鈴の川でお木を曳く
●今日は日もよい日よりもよいぞ みんなそろってお木を曳く
●めでためでたの若松様は枝を栄えて葉も茂る
●伊勢は津で持つ津は伊勢で持つ尾張名古屋は城で持つ