伊勢の台所といわれる河崎は町を流れる勢田川の水運を利用した物流の集積地。伊勢神宮の門前町の賑わいを影で支えた伊勢の経済の中心地でした。
そんな河崎の商家を代表する酒問屋の小川商店は江戸初期から続く大問屋。江戸初期から酒などの取り扱いを初めて明治期に大きく発展し、そして明治24年になると八代目小川三左衛門が当時流行していた炭酸飲料のラムネの製造を手掛けます。
さらに明治30年代には九代目小川三左衛門が王冠で封をしたサイダーの製造を手掛け、明治42年には「エスサイダー」のブランドで販売しました。
ちなみにビンの蓋をビー玉で栓をしたのをラムネ、王冠で栓をしたものをサイダーと区別されていたそうです。
その後どんどん販路を広げたエスサイダーは今でもお馴染の「三ツ矢サイダー」とともに当時の鉄道院西部管理局(現在のJR)の指定品として駅でも発売されるなど興隆を極めました。
太平洋戦争での製造一時休止などを経て、戦後の伊勢志摩の観光ブームとともに根強い人気を誇りましたが
残念ながら昭和50年代に製造を中止しました。
また小川商店は現在廃業され、今では河崎商人館として当時の大問屋を知る貴重な建物として公開されています。
エスサイダーの瓶、初期のものだそうです。
残念ながら口のの部分が欠けていましたが、エスサイダーのトレードマーク「X地にSマーク」、底部に「伊勢山田市 小川商店製造」の刻印ははっきりと読めます。
ちなみにこの「X地にSマーク」は小川家代々の当主・三左衛門のSと小川家の家紋「違い鷹の羽」を図案化したものといわれています。
違い鷹の羽とトレードマークの入った大型栓抜
さてさて。
エスサイダーは当時販売促進を兼ねていろいろなノベリティーグッズも手掛けていました。上の大型栓抜もそんなグッズのひとつです。
そんな数あるノベリティ―グッズのうち、絵はがきとメモ帳がこのたび復刻されました。絵はがきは3枚セットで2種類、メモ帳は少し細長くして一筆箋になっています。
絵はがきセットA | 絵はがきセットB |
一筆箋 |
絵はがきの中身はこんな感じ
【セットA】 | 【セットB】 |
A-1 | B-1 |
A-2 | B-2 |
A-3 | B-3< |
今見てもモダンでかわいいデザインは伊勢の台所と言われた当時の河崎の賑わいを想像させる楽しいものです。また現存するハガキで作成したため、シミ、色あせた感じなども忠実に再現されています。
現在河崎商人館と河崎の中野紙店だけでの限定販売です。
※今回の記事は観察隊Yの都合で中野紙店のブログと同じ記事を掲載しています(観察隊Y)