一、夫婦岩 ・ 弐、五十鈴川 ・ 参、御塩殿 ・ 四、潜島 ・ 五、高城濱
六、濱荻 ・ 七、西行庵 ・ 八、太江寺 ・ 九、音無山 ・ 十、清渚
●『二見十景ってなんじゃ?』…はこちら↓
http://hamasanguu.seesaa.net/category/2091208-1.html
---------------------------------------------------------------------
”難波の葦は伊勢の浜荻”
「浜荻」って風流なひびきです
この浜荻
三津地区では小字名として使われておりました
今の 『ふたみシルバーケア豊寿園』 あたりですね
伊勢の浜荻は三津が発祥!
三津の名勝地として昔から
知られているのです
万葉集にこんな歌があります
今頃私の夫は神風の 伊勢の浜荻 折り伏せて 旅宿やすらむ 荒き浜辺に〜碁檀越の妻〜
神風の伊勢の浜萩を折り伏せて
旅の仮寝をしていることであろうか
荒々しい浜辺で
万葉の頃
碁壇越(ごのだんおち)という者が伊勢国に赴いたとき
都の妻が夫の旅の苦労を思い詠んだ歌です
神風が相当きつかったんでしょうか
浜荻は葉が片側に寄って傾いてるので
別名を片葉の葦「あし」といいます
ややこしいけど「あし」の別名は「よし」
「あし」は「悪し」に通ずるため
「善し」の別名をもうけたそうです
この浜荻 昔は葦原と言われるほど
広範囲に生えていたようですが
今は田んぼそばの水路で見かけます
もうないのでは…との噂もちらほらですが
絶滅はしておりません!
---------------------------------------------------------------------
浜荻は月とセットでもよく詠まれています
こんなのが・・・
もったいないような素敵な月夜なのに、あたら夜を 伊勢の浜荻 をりしきて 妹恋しらに 見つる月かな〜藤原基俊/千載集〜
私は伊勢の海辺で旅寝です。
葦を折り敷いて寝床に作り、
都の妻を恋しがりながら、
こうして月を眺めているんだなあ
さっきの万葉集の逆パターンですね
やっぱり浜荻は折ってふとんがわり
ほかにも・・・
いく夜かは 月を哀と ながめきて 浪にをりしく 伊勢のはまをぎ〜越前 新古今集〜
旅寝する 伊勢の浜荻 露ながら むすぶまくらに やどる月影〜鎌倉右大臣 続古今集〜
そうそう,泉鏡花の 『歌行灯』 の中にも
という一節がありますそうさ,いかに伊勢の浜荻だって,按摩の箱屋というのはなかろう
この部分の脚注に
「莬玖玻集」の「草の名も所によりて変わるなり,難波の蘆は伊勢の浜荻」をふまえ,所がかわれば名や品物の変わることのたとえとあります (ちくま日本文学全集・泉鏡花)
そう、冒頭の
”難波の葦は伊勢の浜荻”は
物の名前が地方によって様々に異なる
という意味のことわざなのだそうです
その浜荻を誇りにしている三津区では
老人会を「浜荻クラブ」
お木曳の木遣り梃子舞台を「浜荻団」と
名付けておるのですね
『参宮名所図絵』にも三津村の様子が
描かれています
これほどみなの心に留まった浜荻ですから
三津の名勝としてぜひ保存していきたいですね
========================================
『二見十景・六/浜荻』
(+をクリックしてもらうと拡大,−をクリックしてもらうと広域…)
(上下左右の矢印をクリックしてもらうと,それぞれ北南東西移動…)
(オレンジのマーカーの黒丸部分をクリックしてみてくだされ…)